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歴史小説 キリシタン武将シモン・クデラ・クワンヒョウエ 1巻

土居豊

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Synopsis

あらすじ

【イエズス会士の直系の預言者・黒田官兵衛、という仮説】 戦国武将黒田官兵衛は、キリシタン武将の高山右近の勧めで入信した当時、多忙な暮らしの中でイエズス会の日課である「霊操」までは、熱心に行っていなかったのではあるまいか。そういう官兵衛でも、荒木村重の乱で捕われた有岡城幽閉中には、イエズス会士として「霊操」を日課としたかもしれない、と、そう考えた。期せずして、幽閉中に集中して行われたイエズス会士としての修行で、官兵衛が神の啓示を受けたという仮説を考えることは十分可能だ。 一つには、官兵衛が有岡城幽閉前と解放後で肉体上の変化(足を悪くした)だけでなく、内面的にも変わったことになっているからだ。 その内面の変化は、司馬遼太郎が『播磨灘物語』に描いたような東洋的な心境変化ではなく、キリシタンとして神の啓示を受けたとみるほうがしっくりくる。 その傍証として、官兵衛は幽閉前よりも解放後の方が、明らかに秀吉の軍師として抜群の活躍をしている点が挙げられる。官兵衛の内面の変化や、秀吉の軍師として竹中半兵衛のあとを継ぐことになった立場、中国攻めの戦況の進展など、外的要因はある。だが一番の原因は、官兵衛自身の変化にあると考えるのが妥当だ。 その変化は、官兵衛の幽閉中に起こった。だから、それが何らかの神の啓示、であってもおかしくはない。 官兵衛は、出獄後、その作戦が百発百中の天才軍師となった。しかし、天下統一の実現の後は、精彩を欠き、徐々に第一線を退いていくことになる。 定説では、秀吉が官兵衛を恐れて遠ざけたのだとか、官兵衛自身が秀吉の勘気を避けて身を退いたのだとかいわれる。 いずれにせよ、官兵衛の天才軍師としての使命は、秀吉の天下統一をもって終った。だから、官兵衛の隠遁後、関ヶ原のとき、九州切り取りを試みたのは、官兵衛が自分の実力を発揮した戦いだったといえよう。 関ヶ原で、官兵衛は、神の啓示に頼らず、自ら天下取りを目指すが、すでに天下統一の啓示は実現されており、官兵衛自身の使命は終っていた、といえるのだ。

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