Book Detail

あした転機に

伊藤泉

著者伊藤泉
レーベル伊藤泉
発売日未設定
タグダイレクト出版 | 同人誌・個人出版
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Synopsis

あらすじ

人が動くと、「史小説」が生まれる。主人公は、時の流れ。歴史は人を動かし、人は歴史を作る。 時は戦争のかさぶたが取れ、変わらなければ生き残れない昭和二十年代後半。政党も企業も「あしたの転機」を求めて離合集散をくりかえした。市町村の大合併は、その典型だった。人は歴史に動かされ、歴史を作った。 幼いころ、毎日井戸端で遊んだ美佐と与半。与半は学徒動員で出征し、消息不明に。待ち続ける美佐は、仕事も生活も共にする親友でかつての恋敵のふみ子も与半を待っていることが分かり、自分の求める「あした」と共有することに危機感をもった彼女は東京を捨て、偶然流れ着いたのは、北陸の氷見。御用芸者という天職を見つけた美佐は、お座敷に上がり、夜な夜な繰り広げられる合併話を不在の在として参与観察を重ねる。さらに、幸せの芽もつかむ。ところがふみ子が事件を犯したことを新聞で知り、その原因が自分にあることを察した美佐は、悔悛の念から幸せに背を向ける。 流れた先は加賀の粟津温泉。芸者として騒々しいお座敷生活の中にも落ち着きを取り戻す。それもつかの間、近くで起きた殺人事件で米兵犯人説が持ち上がると、内灘の米軍の試射場問題と化学反応を起こし、内灘闘争に発展し、日本中がパニックになった。これが、東京時代の米兵の暗い記憶を呼び起こし、美佐も内灘に巻き込まれる。ところが、よそ者の美佐にはしょせん参与観察であり、見てはいけないもの、聞いてはいけないものを見てしまう。 その間、シベリアから生還した与半は美佐の行方を捜し続け、新聞で美佐が内灘にいることを突き止め、9年ぶりに再会。そしてお互いが、いるのが当たり前から、いないのが当たり前の年月の間、求めていた相手は、あの、井戸端で遊んだあの頃の相手であることに気づき、違和感を抱く。お互い、成熟したこの男(女)との将来の生活に疑問を持ちながらも、東京での再会を約し、別れる。 東京へ帰ると決心した美佐は、離れたときは氷見町、今は氷見市になった地で世話になった人にお別れのあいさつに行ったところ、自分が氷見へ流れてきたのは偶然ではなく、「あしたの記憶」を伝えるミッショナリーであることが、ある表札でわかる。その人が、まさに、恩人の娘であることを知った時、ミッションを放棄し、また、人生の定点を失う。あしたの転機に翻弄される「史小説」は、東京(きのう)とは反対の方向(あした)に向かってみたび、あてもなく流れ始める。

Hitokoto

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