Book Detail

いきどまり

ヨシカワヨシオ

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Synopsis

あらすじ

これは、出口を見失ったしまった「記憶」をめぐる物語。 寝入りばなにこめかみを叩かれた時、思わず目を開けてしまった「私」は、「いきどまり」という物の怪に取り憑かれてしまう。「いきどまり」は、夜な夜な現れては、関西弁で、さまざまな奇妙なことをまくしたてる。 「私」は故郷を離れ、OLとして大阪で働いているのだが、「いきどまり」とのやりとりのなかで、次第に、「私」の過去のある出来事が明らかになっていく……。 ********** 寝入りばなに、こめかみを、とんとんと叩かれた。思わず目を開けそうになる。私は、かろうじてその衝動を抑えた。 「いきどまりだわ」 寝入りばなにこめかみを叩かれた時は、絶対に目を開けてはいけない。子供のころ、お兄さんにそう言われたのだ。 「里を離れて、西に行くほど、いきどまりが出るんだ。おまえはいきどまりに狙われやすい気質に違いないから、気をつけなければいけないよ」 目を開けてはいけない。絶対に。 とんとん。とんとん。いきどまりは、執拗にこめかみを叩いてくる。眠気がどんどん遠のいていく。 ********** 私は、そおっと目を薄く開けてみた。枕もとに、何者かが正座している。しまった、と思った時はもう遅かった。全身の筋肉が硬直して、目を閉じることも、身動きすることもできない。 「ほお、目開けたんか」 関西弁だ。土地柄だろうか、それとも、いきどまりというのは関西弁が普通なのだろうか。 「あんた、里のお兄さんに言われたんやろ。寝入りばなに、こめかみをとんとんされても、目開けたらあかんて」 (1「プロローグ」より) **********

Hitokoto

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